積立投資とは
積立投資は、毎月25日や毎週月曜のように決めておいた日ごとに、同じ金額で株式やETF、暗号資産を買い集める方法です。ドル・コスト平均法とも呼ばれ、略して DCA と書きます。同じ数量ではなく同じ金額を買うことが核心です。この方法は二つの場面で使われます。一つは給料のようにお金が入るたびに分けて入れる場合で、そもそも一度に入れるまとまった資金がないので、積立は自然な選択です。もう一つは、すでにまとまった資金があるのに、あえて数か月に分けて入れる場合です。二つは比べる相手が違うので、混ぜて語ると混乱が生じます。この記事では、積立が数字の上で何をして何をしないのかを例とともに整理します。
平均単価が平均価格より低くなる理由
同じ金額で買うと、価格が低いときは多くの数量を、高いときは少ない数量を買うことになります。そのため平均単価(総投資額 ÷ 集めた数量)は、同じ期間の価格を単純平均した値より高くなることはなく、価格の上下が大きいほど差が広がります。数学的には平均単価は価格の調和平均なので常に算術平均以下になり、すべての価格が同じときだけ等しくなります。下の図は、価格が半分に下がってから元に戻った12か月に、毎月100ずつ買った例です。下段の棒は毎月買った数量で、価格が低かった月に棒が高くなっています。
例:価格が100から50まで下がって100に戻った12か月間、毎月100ずつ買いました。集めた数量は16.31、平均単価は73.57で、価格の単純平均77.5より低くなります。最後の価格100での評価額は1,631で投資額1,200より約36%多いものの、初月に1,200を一括で買っていれば価格が元のままなので損益は0です。
逆のケース:着実に上がった期間
同じ方法がいつも有利なわけではありません。価格が着実に上がると、後になるほど高く買うことになり、遅く入れたお金は市場にいる時間が短くなります。下の例は、価格が毎月5ずつ上がって100から155になった12か月です。積立の平均単価は125.13、評価額は1,486で約24%増えましたが、同じ1,200を初月に100で一括で買っていれば1,860で55%増えていました。まとめると、積立は下落後に回復した期間には一括投資より先行しやすく、着実に上がった期間には遅れやすいということです。どちらの期間が来るかは事前にわからないので、積立はリターンを増やす方法というより、タイミングのリスクを分ける方法と理解するのが正確です。
例:価格が毎月5ずつ上がって100から155になった12か月間、毎月100ずつ買いました。平均単価は125.13、評価額は1,486です。初月に1,200を一括で買っていれば評価額は1,860です。
積立が分散するリスクと、分散できないリスク
積立が減らすのは、一時点にすべてを買うリスクです。よりによって高値近くにまとまった資金を入れることを避けられ、いつ買うか悩む負担や後悔も減ります。しかし資産そのもののリスクはそのままです。長く下がり続ける資産や、最後まで回復しない資産は、分けて買っても損失が出ます。また積立が積み上がるほど評価額が大きくなるので、同じ率の下落でも積立の初期より後半のほうがはるかに大きな金額の損失になります。引退やまとまったお金が必要な時期が近いときの急落がより痛い理由です。そのため積立の結果を見るときは、最終的なリターンだけでなく、積み立てている間に評価額が最も大きく減った幅(最大ドローダウン)もあわせて見る必要があります。
- 減るもの:一時点にまとめて買うリスク、タイミング選びの負担と後悔
- 変わらないもの:資産そのものが長く下がる、または回復しないリスク
- 大きくなるもの:積立後半の下落が金額で与える衝撃
間隔・金額・コスト
毎週と毎月といった間隔の違いは、思ったより小さいことが多いです。間隔が短いほど買う価格は細かく分かれますが、購入回数が増えるので、1回ごとに最低手数料がある場合はコストが大きくなります。海外株では両替コストと為替も結果に入り、自国通貨で積み立てると毎回その日のレートで両替して買うので、為替も分けて買っていることになります。配当を受け取って再投資するかどうかも長期の結果を大きく変えます。端数購入ができない商品では金額がちょうど割り切れず残りが出るので、実際の購入額は毎回少しずつ違います。積立をいつ止めていつ再開するかのルールを先に決めておかないと、下落相場で積立を止めて上昇相場で再開し、積立の仕組みと逆の動きをしやすくなります。
結果の読み方
積立はお金が何回にも分けて入るので、単純なリターン(評価額 ÷ 総投資額 − 1)だけでは期間が長いのか短いのかわかりません。最初に入れたお金は何年も運用されていますが、先月入れたお金は1か月だけだからです。そのため、購入ごとの日付と金額を反映した年率換算の内部収益率(IRR)もあわせて見ます。一括投資と比べるときは、同じ総額を同じ初日に入れたとして比べてこそ公平です。開始時点を変えて同じ計算を繰り返すと、同じ銘柄でも始めた年によって結果が大きく変わることがわかります。一回の計算結果をその方法の成績として一般化しないことが大切です。
- 単純リターン:評価額 ÷ 総投資額 − 1
- 年率の内部収益率(IRR):購入日と金額を反映した年率リターン
- 最大ドローダウン:積立中に評価額が直前の最高値から最も大きく減った割合
- 一括投資との比較:同じ総額を初回の購入日に一度に買った場合
このサイトのツールで見る
このサイトの株式積立計算機は、Yahoo Finance の実際の株価で毎月・毎週・毎営業日の積立を再現し、総投資額、評価額とリターン、年率リターン(IRR)、最大ドローダウンを計算して、同じお金を初日に一括で入れた場合と比べます。配当再投資の有無やウォン換算(購入日の為替)も選べます。暗号資産積立シミュレーターは、バイナンスの実際の日足始値で毎日・毎週・毎月の積立を計算し、平均単価の線を価格チャートに描きます。どちらのツールにも開始時点別の結果表があり、同じ方法が期間によってどれほど違う結果になったかを見られます。平均単価が生む錯覚については「平均取得単価が生む錯覚」の記事もあわせて見てください。
限界とお断り
この記事の図は仕組みを示すために作った例の価格で、実際の資産の記録ではありません。実際の結果は資産、期間、間隔、コスト、税金、為替によって変わり、過去の積立の結果がこれから同じ結果になる保証はありません。積立はリスクをなくす方法ではなく、購入時点を分ける方法です。この記事は積立投資の仕組みと限界を説明したもので、特定の資産の購入を勧めるものではなく、投資助言ではありません。
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